国民年金保険料の強制徴収

1.国民年金の加入義務者
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の者は、すべて国民年金に加入することが義務付けられています。
そして、国民年金では加入者を下記のように三区分に分けています。
(1)第1号被保険者・・・国民年金
自営業者、農業者、学生、無職の方など、第2号・第3号被保険者でない者
(2)第2号被保険者・・・厚生年金
70歳未満の会社員や公務員など、厚生年金の加入者
(3)第3号被保険者・・・扶養(配偶者)
厚生年金に加入している第2号被保険者に扶養されている配偶者(年収130万円未満)
会社員の場合は、個人負担分が給与から天引きされ、会社負担分を上乗せして会社が年金保険料を納めますが、国民年金の場合は自身で納める必要があります。このため、滞納が起こりやすいのです。特に、若い世代(25~34歳)の納付率が他世代と比べて低く77%前後となっています。(令和6年度の納付率84.55%)
2.国民年金保険料の強制徴収
国民年金保険料は、納付対象月の翌月末日が納付期限となっていますが、納付が遅れたからといって、すぐに強制徴収されるわけではありません。
(1)納付勧奨
まずは、電話や文書による納付案内が、日本年金機構や委託されている民間事業者によって行われます。
(2)最終催告状
納付勧奨を受けても納付がされない場合は、最終催告状が送付されます。

(3)督促状
最終催告状に記載された期日までに国民年金保険料が納付されなかった場合には、督促状が送付されます。なお、被保険者に連帯納付義務者(世帯主および配偶者)がいる場合には、連帯納付義務者に対しても督促状が送付されます。
(4)差押え
督促状で指定された期日までに未納の国民年金保険料が納付されない場合、財産の差押えが行われます。これは、被保険者本人だけでなく連帯納付義務者(世帯主及び配偶者)がいる場合は、連帯納付義務者に対しても財産の差押えが行われます。差押えは預貯金口座の差押えや、会社勤めの方の場合は会社に差押え通知が送られ給料から差押えをされることもあり非常に大きな影響があります。

なお、日本年金機構が出している「国民年金保険料強制徴収の実施状況」という資料によると、令和6年度(令和6年9月末時点)の強制徴収の状況は下記の通りです。
①最終催告状送付件数・・・103,194件
②督促状送付件数 ・・・ 58,666件
③差押執行件数 ・・・ 10,909件
最終的に1万件以上の差押えが行われており、こうなる前の段階で納付を済ませるか、年金事務所にいって納付についての相談をすることをお勧めします。
(5)免除・納付猶予の申請
国民年金保険料の納付が経済的に困難な場合に、保険料の納付が「免除」または「猶予」される制度があります。過去期間(2年1ヶ月)、将来期間(翌年6月分まで)の申請が可能です。また、世帯年収が考慮されるため、状況によっては「世帯分離」を検討することも必要になってくるかも知れません。とにかく未納のまま放置することだけは避けましょう。
